表面を塗るだけではない、白髪染めの仕組み

源平合戦の時代に、ある老将が最期の戦いでは若々しくありたいと、髪を墨で染めたという話がありますが、現代では、墨で染めることはまずありません。当たり前ですが、すぐ流れ落ちてしまうからです。では、白髪染めは、どういうメカニズムによって、色落ちを防いでいるのでしょうか?

墨汁と違う点は、内部まで色を浸透させること
髪の毛は三層の構造からなっています。外からそれぞれ、キューティクル、コルテックス、メデュラといいます。魚で例えると、うろこ、肉、骨というイメージです。髪の色は、コルテックスの中の、黒い色素であるメラニンによって決まります。メラニンが少なくなってくると、髪の色が薄くなり、髪が白くなっていきます。

外からペンキを塗りつけるイメージを持つ方もいるでしょうが、実は白髪染めは、内部から染めています。アルカリ性の薬剤で、うろこにあたるキューティクルを開き、そのあと、コルテックスのなかにメラニンの代わりになるものを定着させることで、内側から黒く見せています。中まで浸透しているので、色は落ちません。

現代で外から染める例としては、ヘアカラートリートメントやヘアマニキュアが挙げられます。墨汁ほど早く落ちませんが、外から染めることに変わりはないので、洗うごとにどんどん色が落ちていきます。

白髪染めは、キューティクルをこじ開けて薬剤を入れ、内部に固定することで色落ちを防ぐという点が、墨汁などとは大きく異なります。